事業計画

基本活動方針

  1. 民主主義の擁護
  2. 経済界の自主性の確立
  3. 地域経済の安定と進歩のため、自由公正な批判と実践
  4. 地域社会に派生する諸問題の研究及び改善への協力
  5. 企業経営者の団体としての研鑽と同志的団結の強化

【地方分権を促進し、自立と共生を図る】

  • 静岡経済同友会は、終戦直後の昭和21年、日本経済の堅実な再建のため、当時の新進気鋭の中堅企業人有志が集結して東京で誕生した集団の輪が全国に広がり、その環の一つとして昭和39年に誕生した団体であり、以来一貫して、より良い経済社会の実現、国民生活の充実のため諸課題に率先して取組んでいる。
  • 経済同友会は、企業経営者が個人として参加し、自由社会における経済社会の主体は経営者であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の枠を超えた幅広い視野から、変転きわまりない内外の経済社会の諸問題について考え、議論していくところに最大の特色がある。
  • こうした経済同友会会員の各分野における調査・研究・討議の成果は、企業経営者の確固たる意志と良心、時代を見通した先見性の表明として世に問われ、政策当局を始め、広く社会に対して大きな影響を与えている。
  • 経済同友会は、優れた発想と時代感覚に富んだ企業経営者の積極的な参画を得ながら、これからの日本経済を切り拓く新たな原動力を求めて、常に新しい時代に向けて果敢な挑戦を続けている。
  • 他面経済同友会の会員は、交流の場として教養・趣味・スポーツなどを通じて会員相互の親睦を深めている。

運営方針

2026年度(令和8年)

静岡型ウェルビーイングの実現
企業による新価値創造による地域のリバイタライゼーションを目指して

代表幹事:望月 啓行((株)田丸屋本店 代表取締役社長)
代表幹事 望月啓行氏

現在、企業を取り巻く外部環境は急速に変化しており、私たちが拠って立つ経済基盤そのものが、これまでとは異なる段階へ移行しつつあります。人口減少に伴う社会構造の変化は、地域の需要構造や消費行動の変化に加え、人材確保の難しさとして企業経営の現場に直接影響を及ぼしています。結果として、従来の延長線上の発想では立ち行かず、「人手不足を前提とした働き方・組織運営」へと再設計することが避けられない状況になっています。雇用の多様化、スキルの再開発、現場のオペレーション改革、さらには意思決定の迅速化と責任分担の明確化など、組織の根本を問い直す局面に入ったと言えます。

加えて、AIを中心とする第4次産業革命の進展は、単なる業務効率化にとどまらず、業務プロセスや意思決定の在り方を大きく変えつつあります。また、円安や金利上昇といったマクロ環境の変動も、コスト構造や投資判断、サプライチェーンに影響し、企業にはこれまで以上に「環境変化への適応力」と「変化に耐える経営体質」が求められています。

このような状況下では、AIDX的な単なる便利な道具として捉えるのではなく、業務そのものを再設計し、人とAIが役割分担しながら生産性と創造性を高めていく「AI時代の働き方改革(AX)」が、企業の競争力の前提条件となっていきます。重要なのは、部分最適のデジタル化ではなく、仕事の目的やプロジェクトのアイデア、取組内容まで改めて定義し直し、組織全体として飛躍的な成果が出る形に組み替えることです。

また、「働き方の価値観」が再定義される中で、企業や地域の力量を測る尺度も変わりつつあります。GDPや売上の拡大といった量的成長だけでなく、働く人・暮らす人の幸福度や健康、学び、地域コミュニティの持続可能性といった質的価値も重視し、「GDPGDW(ウェルビーイング)の両立」が必要になります。GDWの高い企業は生産性も高いというレポートもあり、この観点は人口動態の変化や産業基盤の制約が先に表面化しやすい地方都市においてこそ、取り組むべきテーマだと考えます。

そして、この局面における「働き方・雇用」についても、発想を転換し、多様化(副業、兼業、リモート、時短、業務委託、スポットワーク、ジョブ型等)に柔軟に対応するとともに、「静岡型」のあり方を模索し、GDWと生産性向上の両面から、人材確保・定着を含めた戦略を考えていきたいと思います。

さらに、地球規模の課題である環境の側面についても、「経済成長と環境経営の両立」や「持続可能な事業モデル」について、引き続き研究していきたいと考えています。

地方には独自の強みがあります。現場に近い意思決定、地域資源の活用、産学官金の距離の近さ、顔の見える連携など、変革を形にしやすい条件が揃っています。とりわけ、企業改革に踏み出せる地方企業こそ、変化を先取りしてスピード感をもって取り組めば、雇用・産業・地域の魅力を高め、結果として人材や投資を呼び込む大きな機会につながります。だからこそ今、私たちは危機感と同時に、確かな可能性をもってこの局面に向き合う必要があります。

静岡経済同友会は、この10年にわたり「行動する経済団体」として地域の課題に独自の視点で向き合い、数多くのユニークな取り組みを積み重ねてまいりました。その姿勢に共鳴する仲間が集い、会員数の増加とともに、多様な経験や知見が蓄積されつつあります。今後は、これまで培ってきた基盤をさらに発展させ、会員同士が学び合い、互いに磨き合う場としての機能を一層高めるとともに、より多くの関係者を巻き込みながら、地域変革の「源泉」としての役割を強化していきたいと考えます。

委員会活動指針

1. 静岡型人口ビジョン委員会

委員長:石井 靖幸((株)駿府楽市 代表取締役社長)

静岡県の人口は、ピークの2007379万人から本年2月には348万人にまで減少、加えて本県は昨年1年間の日本人の転出者が転入者を上回る「転出超過」が一昨年に続いて全国で最多となっています(総務省)。人口減少は、消費の低迷や人手不足など、経済にも様々な影響を及ぼしており、静岡新聞社が県内主要100社を対象に実施したアンケートでは、本県経済の活性化に最も必要な施策を「人口減少対策」とした企業が4割を超え最多であったとのことです。

こうした背景を踏まえ、当委員会では、静岡市を中心とする県中部52町を対象に、人口減少時代においても経済が回り続ける地域モデル=「静岡型人口ビジョン」を描く活動を2年間にわたり展開してまいります。初年度は、経済活動と人口動態の関係整理、直近のトレンドからの課題抽出など、改めての現状認識と課題を共有する機会とすべく、有識者や実務家を講師にお招きし、オープンセミナー形式で講演会を開催します。また、セミナー後半には、講師を交えた情報交換の時間を設け、経営者自身が「自分事」として人口減少問題について考えを深める場としてまいります。 さらには、先進的な取り組みを行っている地域・団体の視察、意見交換を行いたいと考えています。

人口減少は今や地域最大の経済課題といっても過言ではありません。行政と手を携え、産学官の連携で、人口減局面での経済活動のあり方や地域リバイタライゼーションの方策について検討してまいります。

2. 戦略的ウェルビーイング創造委員会

委員長: 竹内 佑騎((株)竹屋旅館 代表取締役社長)
「ウェルビーイングは福利厚生ではない。企業競争力である。」

戦略的ウェルビーイング創造委員会では、「ウェルビーイング=福利厚生」という従来の捉え方を見直し、企業の生産性向上・人材確保・組織力強化につながる経営戦略としてのウェルビーイングを探求する。

人口減少と人手不足が進む中、企業の持続的成長を左右するのは「人が活躍し続ける組織」をどう設計するかである。人材不足が深刻化する時代においては、採用だけでなく、人が定着し活躍する組織づくりが企業競争力の重要な要素となる。ウェルビーイングの向上は、採用力・定着率・生産性の向上につながる可能性が指摘されており、企業価値を高める新たな経営テーマとして注目される。

本委員会では、ウェルビーイング経営を実践する企業の事例研究や企業視察を通じて、ウェルビーイングと業績がどのように連動しているのかを実践的に検証する。先進的な取り組みを行う企業の経営者を招き、具体的な取り組みや成果、課題を共有しながら議論を深める。

こうした活動を通じて、ウェルビーイングを「働きやすさ」にとどまらない企業成長のドライバーとして捉え、静岡における新しい経営モデルの可能性を探っていく。

3.地域活力共創委員会

委員長:山﨑 俊昌(山崎運輸(株) 代表取締役社長)

地域活力共創委員会は、静岡における新規事業創出と挑戦のエコシステム形成を目的に、企業・人材・投資を循環させる地域モデルの構築を推進していきます。

  1. 本年度で第7期目となる、起業・新規事業創出プラットフォーム「テイクオフ静岡」の機能強化を中核にすえ、BBT大学・大学院MBA教授の谷中修吾氏に引き続き指導を依頼します。また過去に採択された「テイクオフ静岡」団体のスピンオフ・アルムナイ人材の活用支援を研究していきます。
  2. 社会性と収益性を両立するゼブラ企業のネットワーク形成を進めていきます。2027年夏に予定される、静岡市の中学生部活動の地域移行を契機に、市内中小企業がゼブラ企業として地域スポーツ・文化活動の受け皿となる新たな地域事業モデル(静岡モデル)を提言していきます。
  3. 国際ビジネスや外国籍人材活用の研究を通じて地域企業の成長機会を拡張し、新たな挑戦が次の挑戦を生む地域イノベーション循環を検討していきます。

4.未来経営創出委員会

委員長:村上 隆則(村上貿易(株) 代表取締役社長)

未来経営創出委員会では、地域経済の担い手が集う静岡経済同友会独自の視点から、地域・企業に関わる時事的課題を取り上げて議論し、その成果を行政・市民をはじめ広く外部に届ける『発信型』のミッションを担当します。

具体的事業としては、昨年度までの特命委員会の所管事業を継承し、9月に開催予定の夏季セミナーの企画・運営を担当するほか、2年間の委員会任期中に開催予定の「しずおか未来選択会議」の企画・立案、および関係各所との擦り合わせ・調整を進めます。夏季セミナー・しずおか未来選択会議の成果は、政策提言にまとめて発信する予定です。

今期の夏季セミナーでは、近年の開催形式と同じくオープンセミナーの形式で、静岡のローカルな可能性と地元企業の役割を結びつけるテーマを取り上げ、幅広いオーディエンスに向けて情報を発信します。現時点では別紙添付の通り、複数の企画案を検討中です(このうち夏季セミナーに選定しなかった企画を委員会企画として別途実施する可能性もあります)。

また、当委員会の併設委員会となるローカル・イノベーション委員会では、西村副委員長を中心に地域密着型のイノベーションの事例と可能性について研究を進め、今後の企画化について検討を続けます。

5.企業OS革新委員会

委員長:松田 敏孝((株)サンロフト 代表取締役会長)
― Web3・AIを活用した企業OS革新の実証 ―
  1. 取り組みの背景
    企業OS革新委員会では、企業活動の基盤となる仕組み、いわば「企業OS」の革新をテーマに取り組みます。本委員会では、企業OSを「企業活動を支える共通基盤となる仕組みやインフラ」と位置づけています。業種や業務内容が異なる企業であっても、その活動を支える基盤には共通する部分があります。個別業務の改善にとどまらず、企業活動の基盤の革新について検討と実践を進めます。
  2. 具体的なテーマ
    Web3、特にステーブルコインJPYCの活用をテーマとして取り上げます。デジタル通貨であるJPYCは企業活動を支える新しい共通基盤となる可能性を持っています。本委員会では、その可能性を検証するとともに、取り組みの推進プロセスにおいてAIを実践的に活用します。また、本地域においてステーブルコイン活用の実証実験を目指し、セミナー開催や資料作成などの普及活動にもAIを活用します。
  3. 本年度の活動
    本年度は、ステーブルコイン活用の実証実験を進めるとともに、地域企業への理解促進を図ります。この取り組みを通じて地域企業が新しい企業基盤を取り入れ、地域と共にアップデートしていくきっかけをつくることを目指します。

6.環境経営推進委員会

委員長:増田 真司((株)エヌ・ビー中根屋 代表取締役社長)

国際的にカーボンニュートラルへの取り組みが広がる中、日本政府も2050年カーボンニュートラルの実現やGX推進に向けた方針を打ち出し、企業の環境対応がますます重要になっています。地域の企業においても、温室効果ガス排出量の削減やエネルギー転換は避けて通れないテーマとなっていますが、近年は環境対策を進めるうえで、経済的な持続性との両立がより重視されるようになってきました。

こうした状況を踏まえ、当委員会では「環境経営」をキーワードに、会員企業が自社に合った形で取り組みを進められるよう、学びの機会を提供していきます。今年度は特に、先進企業の取り組みを学ぶ視察を中心に、 実際の工夫や成果を共有いただくことで、各社のヒントとなる情報を得たいと考えています。また、専門家によるセミナーも開催し、環境経営の基礎から最新の動向まで理解を深める場をつくります。

これらの活動を通じ、会員企業が環境と経済の両面から持続可能な経営を考え、地域全体の発展につながる取り組みを進めていけるよう、委員会として行って参ります。

7.総務企画委員会

委員長:薩川 悠輔((株)薩川組 代表取締役社長)

総務企画委員会は、会員同士の親睦を深め、誰もが気軽に参加しやすい雰囲気づくりを通じて、同友会活動全体の活性化を支えてまいります。
本年度も、秋の夜会、新年賀詞交歓会、親睦ゴルフ大会、親睦旅行などの行事を企画・運営し、多くの会員が交流できる機会をつくります。世代や業種、所属委員会を越えて顔を合わせ、語り合うことで、例会や委員会活動にもつながる関係づくりを進めてまいります。

また、懇親を伴う行事においては、これまで取り組んできたフードロス削減の趣旨を引き続き大切にし、参加者増加に対応した運営の工夫を行います。

特に会員増加が続く中で、新しい会員が同友会に馴染みやすい環境を整えることも、総務企画委員会の大切な役割と考えています。その一環として、入会歴の浅い会員を対象に江崎監事による「同友会スピリット講座(仮称)」を実施し、同友会の理念や歩み、関わり方を学ぶ機会を設けます。先輩会員の経験談や対話を通じて、安心して参加できるきっかけづくりにつなげます。

あわせて、会員名簿のデジタル化など運営の効率化を進めるとともに、事務局体制の強化についても引き続き検討し、円滑な委員会活動を進めてまいります。